独立開業に失敗する原因とは

事業計画の不足

独立開業をする上で事業計画は単純に自分が何をしたいのかというビジョンを形にしたものではありません。事業計画書としてまとめて、銀行や信用金庫などの金融機関・投資会社などから融資をしてもらうときの判断材料にもなります。事業計画の内容に不足があれば、そこに投資をしてくれるところは出てきません。お金を調達できないし、具体的にどうやって収益を上げていくのかという戦略もないとなれば、失敗をするために独立開業をするようなものです。

加えて頭の中でいいアイデアがあると思っていても、いざ事業計画としてまとめていくと粗が見えてくることもあります。事業を続けていくのに大きな壁となる問題が見つかったり、実際には使えないアイデアだということもあります。そういった各種の問題点をあぶり出すことが出来ない事業計画であれば、解決のためにするべき備えもなく会社は潰れてしまいます。

そういう事業計画を立ててしまう原因は、いくつかあります。
例えば事業計画を、一人で考えている場合です。確かに会社を立ち上げようとしている人間が、最も事業の強みに弱みを知っていそうなものですが、経営に関して専門的な知識がなかったり、知らない情報があると現実的な事業計画とならない可能性があります。
あるいは、経営者として必要な論理的思考や判断力に欠けているときも、いい事業計画にはなりにくいです。
では、どうすればいいのかというと、行政や商工会議所が開催している独立支援の相談会に参加してみたり、行政書士など専門家に相談をしてみることです。

失敗を想定していない

独立開業をすれば、必ず成功すると約束されているわけではありません。どれだけ魅力的な事業だと思っていても、商品やサービスが見向きもされないということは珍しくないからです。たとえ売上があっても、それ以上に出費が多ければ利益は減っていき会社を維持する事はできません。

また事業が軌道に乗ったと思えても、リーマンショックのように経済全体が大きな打撃を受けたときには、小さい会社は耐えきれないで倒産するということもあります。世の中には失敗する内的・外的要因が満ち溢れているのです。それを理解していないで根拠もなく、毎年売上が上がっていくという予測をすれば予想していなかった自体に備えることができません。

失敗を想定しないことで、大量に商品を作ったならばその費用はもちろんのこと、在庫を保管するための倉庫を借りる必要も出てきます。倉庫代は決して安くありませんから、じわじわと経営を圧迫していき最後には失敗していく恐れがあります。

もちろん、楽天的な経営者が成功する事例もあります。でもそれは、経営者の力量だけでなく、失敗する要因が起きていないということも大きいです。独立開業をするためには、多額の資金を投入し周囲の人の協力をしてもらっているのに、失敗を考えずに運任せにするというのはいささか無責任です。

莫大な借金を抱えて終わりにしないためにも、失敗したときに備えて資金を蓄えておくとか、どのタイミングで事業をたたむのかということは最初に決めておくべきです。

再挑戦しない

独立開業をしたけれども、業績が上がらずに挫折してしまったというとき、それで終わりにするのも一つの決断です。でもそれでは、いつまでも失敗した人間になってしまいます。失敗する原因は、失敗でくじけることなく再挑戦する気持ちがないのです。

確かに失敗したことは大きな痛手ですが、一度の挑戦で成功できるのはほんの一握りです。失敗は成功の母というように、失敗した経験を元に新しい事業計画を練ることで同じ過ちを繰り返さずに済むことだって出来ます。

もちろん、資金不足などの問題もあるでしょうが、練り直した事業計画で金融機関や投資家を説得しようという意気込みがないのであれば、経営者として向いていません。前回の失敗を生かして、次はどうすればいいのか、という分析が正しくできるならばチャンスはあります。失敗したことでリスクが有る経営者と見る金融機関や投資家もいますが、逆にその経験を買ってくれる場合もあります。時間をかけてでも、失敗をマイナスではなくプラスとして扱ってくるところを探していけばいいのです。

再挑戦で資金調達をするにあたっては、やっておかなければいけないこととして抱えた負債は完済しておくことです。借金を抱えているのに、新たに借金を抱えようとしている経営者を信用するのはかなり難しい話です。しかし借金を抱えたけれども、努力をして完済し終えたというのであれば、借りたものを返すという誠実さが信用を得るポイントとなりえます。